【障がい者の働き方】オープンとクローズとセミオープン就労を解説

障がい者オープン就労クローズ就労

あなたは、どの働き方を選びますか?

障がい者の働き方には、オープン就労とクローズ就労とセミオープン就労があります。
あなたは、この違いが判りますか?これは、働き方の違いになります。

障がい者が就職や転職で求人を探すとき、自分に合った条件や環境で働くためにはこの違いを良く理解しておく必要があります。

就職や転職は時間も労力もかかり、やり直すことはとても大変です。
なので、間違えたりミスをしないためにも、この違いは良く知っておきましょう。

今回は、私の解説だけでなくJIERを利用していただいた時に実施している、アンケートの就労についてのコメントを掲載しているので、実際の生の声も参考にください。

JIERアンケート調査結果

アンケートは、JIERを利用した人の中から有効回答者数である112名と、今まで私が在籍した企業で働く障がい者の協力になります。

オープン就労・クローズ就労・セミオープン就労と は

オープン就労とは

まず最初に、オープン就労とクローズ就労とセミオープン就労とは、どのような働き方なのか解説します。

オープン就労とは

オープン就労とは障がいを公開した働き方です。つまり、一緒に働く周りの全員が障がい者であることを伝えます。伝えたくない事までオープンにする必要はありませんが、オープンにすることで障がいへの必要な合理的配慮が受けられるので、働きやすい環境で仕事をすることが出来ます。

求人は、探す段階から一般枠とは分けてあり、オープン就労専門に障がい者枠として求人が別れているので探しやすいです。

クローズ就労とは

クローズ就労とは障害を公開しない働き方です。
求人は、一般枠の中から選ぶことになります。

障害を隠して働いても良いの?バレたらどうなるの?という質問を良く受けますが、バレたからと言って解雇にはなりません。詳しくは、この解説の中のQ&Aで答えています。参考にしてください。

-記事内Q&A-
オープン就労・クローズ就労Q&A

セミオープン就労とは

セミオープン就労とは、一般枠のクローズで選考を進め、上司や必要な人にだけ障がいをオープンにするやり方です。
なので、一緒に働く同僚や他の社員には障がいについて伝えられることはありません。

オープン 就労 の意味とメリット・デメリット

オープン就労メリットデメリット

障がいをオープンにすることで、メリットもありますがデメリットもあります。メリットだけなら良いのですが、デメリットも良く理解して働き方を選んでください。

オープン就労にする意味とメリット

障がいをオープンにする意味は合理的配慮を受けるためです。
合理的配慮とは、障がいに合わせた工夫や調整で困難を取り除くことです。

例えば、定期通院は優先的に時間をとることが出来たり、通院は欠勤扱いにならないとか、通勤時間帯をずらすような配慮や時短勤務などから、仕事で利用するパソコンの支援用ソフトや専用のOA機器、社内の中の案内の表示方法やエレベーターや階段の案内、避難器具など多くの合理的配慮が可能であり、オープン就労のメリットです。

実際に、どのような合理的配慮がありメリットになっているのかアンケート調査で聞いてみました。

アンケートから~『オープン就労のメリット』

  • 定期通院は優先的に時間をとることが出来る
  • 通院は欠勤にはならない
  • 通勤時間帯をずらす
  • 時短勤務
  • 業務用マニュアルの作成
  • 残業なし
  • 出張なし
  • 転勤なし
  • 拡大読書器、スクリーンリーダー等の支援機器
  • 専用のOA機器
  • 点字案内
  • フラッシャーの取り付け
  • 車いす用の避難器具

これ以外にも、仕事へのノルマや責任が減ることもあります。
また、障がいを公開していることで他にも率先して周囲からサポートを受けられるようになります。

アンケートの生の声からメリットを抜粋

今回初めてオープンで仕事をしました。以前はクローズで障害を隠して働いたので体調が良くなくても無理して周りに合わせて仕事をしていました。だんだん、仕事に行くのが憂鬱になり、我慢すればするほど体も心も辛くなり本当にいっぱいいっぱいでした。今は、オープンで障害への理解がある働き方が出来ているので体調もメンタル面も気持ち良い状態です。
東京都 男性

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私は、定期通院があります。前職ではクローズで仕事をしていたので終業後に通院をしていましたが、残業があると通院が出来ずに毎日服薬する薬を切らして不安になったり体調を崩すこともありました。今はオープンなので合理的配慮として事前に申告しておけば定期通院は必ず行けます。それだけでも安心して働けるようになりオープンにして本当に良かったお思います。
神奈川 女性


オープンにすると仕事が減ったとか、給料が下がったと言う人もいますが、身や精神を削ってまでも働く必要は無いと思います。安心安定した働き方が一番です。オープンにして給料は下がりましたが、満足度は高いです。
東京都 女性


障がい者が、企業で戦力として働くためにはオープン就労が必要だと感じました。一人ひとり障害特性が違う人が、同じ配慮で良いわけがなく、上手く働けなくて当たり前です。
僕は、合理的配慮があるオープン就労は障害者の働き方として良いと思っています。
千葉県 男性


辛い思いをして働くより、障がいを公開して働く方がよっぽど良いに決まっている。
毎日、がまんがまんでは長く続かないよ。
埼玉 男性

熊谷
特別なことをしてもらっているようで嫌だと言う人がいますが、それは違います。
合理的配慮は、受けるだけのもではなくて、あなたも他の誰かにもしてあげられることです。
Diversity ・多様性として当たりまえの考え方です。
なので、抵抗を感じる人も参加してみましょう。

オープン就労のデメリット

障がい者にとって働きやすいオープン就労ですがデメリットもあります。
アンケートで、オープン就労のデメリットについて聞いてみました。

アンケートから~『オープン就労のデメリット』

  • 求人数が少ない
  • 職種が限られる
  • 障がい者だという事が知られる
  • 年収が安い
  • 給料が低い
  • 正社員に慣れない
  • 責任のある仕事がない
  • キャリアを考えることが出来ない

アンケートの生の声からデメリットを抜粋

オープンにして働いていますが、5年たっても一番簡単な入力くらいしか仕事がありません。10年前に入社した人に聞いても仕事が変わったことは無く評価も一定だそうです。オープンではキャリアパスなどは考えられません。
東京都 女性

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障がい者枠で就職すると正社員に慣れなくて、途中でクローズに変えることも難しいという話を先輩から聞き、どちらの働き方が良いのか悩んでいます。
途中でクローズに変えられないのなら、はじめはオープンでない方が良いかとも思います。
神奈川 男性


今、転職活動をしていてオープンとクローズ両方で探しています。自分の障害の事を考えると、オープンの方が良いのは解るのですが、希望する業界の求人数が少なすぎるのと提示されている給料が安いです。生活の事を考えるとオープンで働き続けるのは厳しいのかもしれないと感じています。
千葉 男性


オープンにして働いて約4年たちます。定期通院も出来ない時はなく体調は凄く安定しています。ですが、契約社員なのでボーナスが無くて、昇給も1%や2%です。毎年、ボーナス時期になると気が落ち込みます。
埼玉 男性


今年、転職をしてオープンにしました。転職先は業界も職種も同じですが、給料が全く違います。残業やノルマが無い分仕事では楽をしています。でも、その分収入が減りました。
体調を崩さないように働くのが基本なのは解っていますが、収入が減ったのは困っています。
神奈川 男性


給料は少なくなることは理解してオープン就労にしました。共働きなので生活は何とかなりますが、それより仕事が少ないです。全く無い訳ではありませんが、時間を持て余しています。上司に相談しても、「仕事に慣れてからでいいよ。」と1年放置です。適切な配慮は必要ですが、壊れ物に障るような扱いはやめてほしいです。
東京都 女性


障がい者枠で就職すると正社員に慣れなくて、途中でクローズに変えることも難しいという話を先輩から聞き、どちらの働き方が良いのか悩んでいます。
途中でクローズに変えられないのなら、はじめはオープンでない方が良いかとも思います。
神奈川 男性

【熊谷の考えるオープン就労が向いている人】

熊谷
定期通院があったり体力や体調面で不安がある人など、働き方に配慮が必要だと感じるすべての人に利用して欲しいです。
どんなに些細な事でも、こんな配慮があれば働きやすいのになと思う人はオープン就労が向いています。

障がい者のオープン就労の仕事の探し方は、こちらを参考にどうぞ。

-関連記事-
就職の準備が出来ている障がい者の支援

クローズ就労にする意味とメリット・デメリット

クローズ就労メリットデメリット

障がいをクローズにすることで、メリットもありますがデメリットもあります。メリットだけなら良いのですが、デメリットも良く理解して働き方を選んでください。

クローズ就労にする意味とメリット

障がいをクローズにする意味は、障がいへの合理的配慮という制限を受けない為です。
障がいへの合理的配慮は、時には働く事に関しては妨げになることもあります。

そこで、実際にクローズのメリットは何があるのかアンケート調査で聞いてみました。

アンケートから~『クローズ就労のメリット』

  • オープンと比べて給料が高い
  • オープンと比べて年収が高い
  • 求人数が多い
  • 職種を選べる
  • 正社員の求人多数
  • 高収入の求人
  • ハイキャリアの求人
  • キャリアパスを考えられる
  • 責任のあるポジションの仕事
  • やり甲斐がある

アンケートの生の声からメリットを抜粋

あらゆる業界、職種の求人が溢れています。
スキルやキャリアにあった求人を探すことが出来ます。
年収も、求人のポジションに合わせてアップするのでやり甲斐を感じる求人が多いです。
東京都 男性

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障がい者枠と一般枠では、求人の数が全く違います。
求人紹介サイト1つとっても、障がい者枠では多いところで1,000件、一般枠では10万件くらいあります。約100倍です。
神奈川 男性

クローズ就労のデメリット

障がいに関係なくバリバリ働きたい人には良いクローズ就労ですが、障がい者が働くうえでのデメリットもあります。
アンケートで、クローズ就労の経験がある人からデメリットについて聞いてみました。

アンケートから~『クローズ就労のデメリット』

  • 業務上の合理的配慮は無い
  • 定期通院は時間を作るのが難しい
  • フレックス以外で時差出勤は無い
  • 正社員の時短勤務はない
  • ノルマあり
  • 残業あり
  • 出張あり
  • 転勤あり

基本、オープン就労であげられたメリットはありません。
障がいへの合理的配慮の無い一般枠での就労になります。

アンケートの生の声からデメリットを抜粋

最初は、責任のある仕事で給料も良くて満足でしたが、定期通院が思うように出来なかったり残業が多くて障がいに影響が出たりしました。結局1年もちませんでした。
体調を崩して休職をして、その後退職になりました。今はオープンで仕事をしていますが、何が良いかって、気持ちが落ち着いて安定して仕事が続けられています。収入面では多少下がりましたが、障がい者年金もあるので、今はクローズからオープンにして良かったと思っています。
神奈川 男性

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学生時代に障がい者と認定されましたが、新卒ではクローズで入社しました。オリエンテーションが終わり現場に配属されてからは、何も結果が出せなくミスも多く、でもそれが障がいに関係あることもい言えなくて、とても辛く嫌な思いしかありませんでした。
障がい者でクローズ就労が出来る人は、本当に手帳が必要で無いくらいの人しか向いていないと思います。
東京 男性


クローズ就労は、オープンと比べて求人数が多いです。特に地方のオープンは求人数が極端に少なくて、仕方なくクローズで選ぶしかありません。通院も行きにくい環境で障がいについて相談が出来る上司もいなくて、無理なら退職してもいいよ的な言葉しか聞いたことがありません。オープンで働ける環境がある人が羨ましいです。
静岡 女性


障がい者がクローズ就労したら長くは続きません。自分で納得するために一度は経験するのも良いかもしれませんが、二度とクローズで働こうなんて思わなくなりますよ。
クローズで社畜になるか、オープンで悠々自適になるかは自分次第です。
東京 女性

【熊谷の考えるクローズ就労が向いている人】

熊谷
クローズ就労は、定期通院が無くて障がいへの配慮を必要としない人になります。

でも、それではもはや障がい者ではありません。それでは障がい者はクローズ就労のようにバリバリ活躍をしてハイキャリアで高収入は目指せないのかというと、そうでもありません。
それが、次で紹介するセミオープン就労です。

セミオープン就労の意味とメリット・デメリット

セミオープン就労メリットデメリット

セミオープン就労は、オープン就労とクローズ就労を合わせたハイブリッドの働き方です。
この働き方は、障がいを一部の人だけにオープンにして一般社員にはクローズにします。

例えば、上司や会社の上層部には障がいをオープンにしますが、同僚など一緒に働く社員にはクローズにします。

セミオープン就労の意味とメリット

セミオープン就労を選ぶ意味は、障がい者としてある程度の合理的配慮のある環境で仕事も頑張りたいためです。

セミオープン就労で働く人の生のコメントを欲しかったのですが、アンケート調査ではいませんでした。
企業側で上司や人事でのサポートが大変なので少ないからだと思います。

そこで、今までの経験からメリットとデメリットを紹介します。

『セミオープン就労のメリット』

  • 障がいを公開しないで上司など一部からは合理的配慮がある
  • オープンと比べて給料や年収が高い
  • 求人数が多い
  • 職種を選べる
  • 高収入の求人がある
  • ハイキャリアの求人がある
  • キャリアパスを考えられる
  • 責任のあるポジションの仕事
  • やり甲斐がある

セミオープン就労は、オープン就労とクローズ就労両方のメリットを受けることが出来ます。

セミオープン就労のデメリット

この一番のデメリットは、理由は色々ありますがセミオープン就労で働ける企業が少ないことです。
これが一番のデメリットです。

では、障がい者が合理的配慮のある環境で活躍をすることは出来ないのかというと、そんなことはありません。
セミオープン就労を受け入れる企業は少ないですが、実はオープン就労でハイキャリアや高収入の働き方はあります。

熊谷
障がいへの合理的配慮のある環境でバリバリ活躍も出来ます。

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障がいへの配慮があるやり甲斐のある求人が多いランスタッド

オープン就労とクローズ就労の給料

オープン就労クローズ就労給料

オープン就労の平均給料です。資料は厚生労働省発表です。

障がい平均賃金
身体障がい215,000円
知的障がい117,000円
精神障がい125,000円
発達障がい127,000円

平成30年5月の平均賃金:厚生労働省発表

オープン就労の平均給与は、153,000円です。

次はクローズ就労についてです。クローズ就労は一般枠の日本の平均年収で出します。2020年の平均年収は409万円です。

これを、単純に12か月で割ると、約340,800円です。年収だとボーナスとか入っていてオープン就労の平均金給料と比較できないと思わるかもしれませんが、障がい者のオープン就労は契約社員が多くてボーナスは無いことが多いです。なので、単純にクローズ就労の年収を12か月で割って出した金額と比較することが可能です。

集計している時期も、数字もキッチリしていませんが、オープン就労とクローズ就労では差があることは事実です。

クローズ就労の平均給与は、340,800円です。

オープン平均給与153,000円
クローズ平均給与340,800円
熊谷

このように比べると収入が極端に違う様に思えます。その理由は、基本給もありますがオープン就労では時短勤務や残業が無い事などから平均収入から見ると少なくなります。

ですが、オープン就労で合理的配慮のある環境で高収入やハイキヤリアの仕事をしている人や求人も沢山あります。特に、障がい者の雇用率が高い企業ではオープン就労で活躍する人が増えています。

-関連記事-
【ランキング】障がい者雇用率の高い100企業と職種トップ10

オープン就労・クローズ就労Q&A

オープン就労クローズ就労Q&A

JIERにオープン就労とクローズ就労について良くある質問を掲載しておきます。

Q.クローズ就労はバレますか?
A.自己申告なのでバレることはありませんが、年末調整で障がい者控除をするとバレます。
Q.クローズ就労でバレたらどうなりますか?
A.法律上は問題ありません。会社もそれを理由に解雇は出来ません。
ですが、障がいを配慮するという意味で労働時間や職種の見直しがあることもあります。
それに伴い、給料も変わることもあります。
Q.障がい者手帳なしでもオープン就労はできますか?
A.障がい者手帳なしで、オープンで就労できる企業や自治体は実質ほぼ無いと思ってください。
でも、手帳なしで利用できるサービスはあります。

  • 就労移行支援
  • 障がい者職業センター
  • 障がい者就業・生活支援センター

などになります。

Q.障がい年金は一般就労でも受給できますか?
A.働いていても障がい年金は受給できます。申請に関しては社労士さんに聞くと良いです。個人でやると、書類や記載漏れがあってなかなか進めることが難しいです。
熊谷
この他にも、判らない事や相談したい事がある人は、お気軽にご連絡ください。

障害者の求人の探し方

障がい者求人探し方

如何でしたでしょうか。オープン就労とクローズ就労とセミオープン就労について解説しました。
ここで解説したように、どの働き方にもメリットもデメリットもあります。

働き方を決めるのは、障がいの治療状況や障害特性、また健康状態など多くの角度から考慮して決めましょう。

最後に、JIERへの相談でオープン就労かクローズ就労で悩んでいる人にするアドバイスを簡単に紹介します。
私がアドバイスするのは、ハローワークなど1つのサービスだけはなく多くのサービスを利用することです。

それは、ひとつのサービスだけでは、求人の偏りや掲載されていない求人があるからです。
詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。

-関連記事-
【丸わかり解説】障がい者の就職活動のすすめ方

KumagaiKumagai
就職・転職アドバイザー

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