職業柄、私のところに「なかなか就職ができないです。」とか、「障がい者は転職するのが難しいですか?」等の相談があります。
理由は、ひとり一人違うので、これが答えだと断言は出来ませんが、よくあるケースをあげて解説します。
あなた個人へのアドバイスが必要な方は、この記事最後にあります。
ご活用ください。
障がい者の転職が難しい・就職が出来ない理由
転職が難しい、就職が出来ない理由として考えられる原因は、働く準備が出来ていない、まだ早かった等が考えられます。
転職回数が多い場合やブランクが長い人も、前職を退職した理由が、このあたりが原因になっている人もいます。
相談があった中から、多い原因を例として出してみます。
- まだ治療が必要
- 自分の障がいへの理解が不十分
- スキル不足
- マナー不足
- 健康管理
これらが主な原因として考えられます。面接などを通してこれらが見えると採用までは進めません。
面接以前に、書類選考から進まないと言う方は、こちらの記事を参考にして下さい。
それでは、1つずつ理由について解説していきます。
まだ治療が必要
同じ障がい名でも、起因となることが違うと治療方法も変わる場合があります。それと、1つの障がいだけでなく、併発していることもあります。
特にメンタル面での障がいは、1つの症状だけでなく多くの症状を併発している場合も多くあり、多方面からの治療が必要になるケースもあります。
自分の障がいへの理解が不十分
就職するためには、自分が苦手なことや出来ないことを理解しておく必要があります。
これは、一緒に働く人や上司などに伝え、合理的配慮をしてもらうことが目的です。
自分の障がいについて理解が深まっていないと、これは出来ません。
これが出来ないと、就職しても仕事はやりにくく、思うように出来ないなどが重なり、体調を崩す原因につながりやすくなります。
スキル不足
スキルは、パソコンスキルとコミュニケーションスキルです。
パソコンスキルは、基本となる入力が出来てメールが出来るくらいが目安です。
MOSやサーティファイなどの資格は必要ありません。
また、入力速度も1分で100文字くらい出来れば充分です。
コミュニケーションスキルは、他人と意思疎通に必要な技術です。
これは、読む書く聞く話すが基本ですが、伝え方や聞き方など奥が深く、出来ていると思っている社会人経験者でも、しっかり出来ていない人は多いです。
マナー不足
ここで言うマナーは、ビジネスマナーです。
コミュニケーションスキルとも近いですが、ビジネスマナーは社会人としての基本です。
仕事をする上で必要な、基本の5W1Hや、身だしなみ、名刺交換、電話応対からアサーティブな思考等までが該当します。
健康管理
仕事を継続して安定してするためには、健康管理が出来ていないとなりません。
その為には、体調管理が必要です。
毎日、しっかり睡眠を取り食事を決まった時間に取ることが基本です。
これが出来ていないと健康管理が駄目になり、安定した就業は出来ません。
就職・働く準備
障がい者は就職が出来ないとか、転職が難しいと言われる原因を打破するためには、働く準備が必要です。
前の章で書いた転職が難しい、就職が出来ない理由への対策です。
- まだ治療が必要
- 障がいへの理解
- スキル不足解消
- マナー不足解消
- 健康管理
まだ治療が必要
障がいは、単純なことではありません。
体も心もお互いに影響しながら構成されていることが多く、単にひとつの症状や特性だけへの治療では足りないことがあります。
例えば、私は下肢に障がいがあり、後遺症は別として治療が終わっていても、それが原因で思うように仕事が出来なく、メンタル面に症状が出ていた時があります。
このような状況で仕事をしても、長続きはしません。
下肢の治療以外にメンタル面の治療も必要になっています。
なので、主治医から仕事をする許可が出ているのにも関わらず、上手く働けない場合は更なる治療が必要になっている場合があります。
これを治療しないと、仕事をすることは出来なく、就職は難しいことになるので、主治医以外の診断を試みましょう。
障がいへの理解
障がいへの理解と言うと、廻りの人が障がいを理解する必要があると解釈する場合と、自分が自分の障がいを理解するという様に受ける場合があると思いますが、ここでは後者のことを指します。
目的は自分の障がいを理解して受け入れることで、合理的配慮があれば出来る事と、それでも出来ない事を周囲に伝えることで、自分に合っている仕事環境を作ることです。
これが出来ると、合理的配慮が明確になり、障がい者の雇用が出来ないとか、難しいとしていた企業も必要な事が明確になり採用する準備が出来るようになります。
スキル不足
(コミュニケーションスキル/パソコンスキル)
コミュニケーションスキルを上げるためには、本を読んだりセミナーに行くよりも、実戦で行う方が身に付きます。
とはいっても、なかなかその様な機会はありません。
そういう場合は、お住いの市区町村の自治体の窓口の相談をすることが出来ます。
障がいのある人が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう身近な市町村を中心として以下のような相談支援事業を実施しています。
地域の状況に応じて柔軟な事業形態をとれることとなっておりますので、詳細については、最寄りの市町村窓口にお問い合わせください。
出典:厚生労働省
また、厚生労働省では障がい者訓練(ハロートレーニング)もすすめています。
内容は、職業訓練になります。パソコンスキルやコミュニケーションスキルを、実戦を通して学ぶことが出来ます。
マナー不足
ビジネスマナーは、頭で覚える必要があります。
自然に身につくものではないので、しっかり覚えましょう。
方法は、オンラインの無料セミナーです。
ビジネスマナー セミナー 無料で検索してみてください。
たくさん出てきます。
健康管理
健康管理は、個人でしかも自分で行うことはアスリートでも難しいです。
でも、方法はあります。
1週間のスケジュール表を作成してしまうことです。
しかも、時間割にして明確にします。
コツは、分単位でいれないこと、時間でゆったりしたスケジュールにします。
作っているときは、きっちりしているスケジュール表を見ると、気持ちがいいのですが、いざ利用するとなるとやってられません。
ざっくりした、スケジュールで充分です。
決めておくのは最初は起床と入浴と就寝の3つです。
慣れてきたら、食事の時間も入れていきます。睡眠と食事は生活のリズムの基本になり、健康を管理するためにとても重要なことです。
- 起床
- 朝食
- 昼食
- 夕食
- 入浴
- 就寝
もっとなれたら、1週間の予定を入れます。
例えば、通院とかですね。
これをすると、意識した時間配分が出来るようになり、体調が管理しやすくなります。
ただし、体調が悪い時無理にスケジュールに合わせるのは逆効果です。
体調を戻してから、再度取り組めばいいです。
働く準備が整ったか見極める方法
方法は、いくつかありますが今回は3つ取り上げました。
- 主治医とセカンドオピニオンによる診断
- トライアル雇用の利用
- エージェントを利用してみる
それでは、説明をします。
主治医とセカンドオピニオンによる診断
仕事をすることが可能か、主治医とほかの医師に診断をしてもらいます。
セカンドオピニオンは、主治医と同じ専門ではない方が良いです。
外科や整形外科の主治医であれば、精神科か心療内科の診断を受けるようにします。
また、精神科が主治医であれば、心療内科で診断をしてもらい、心療内科が主治医の場合は精神科で診断をしてもらうのが良いでしょう。
精神科は、「うつ病」「統合失調症」「神経症性障がい」などのこころの病気を診ている、精神科の医療機関
心療内科は心理的な要因で身体の症状(胃潰瘍、気管支ぜんそくなど)が現れる、いわゆる「心身症」を主な対象としています。
出典:厚生労働省
トライアル雇用の利用
トライアル雇用(とらいあるこよう)とは、公共職業安定所(ハローワーク)の紹介によって、特定の求職者を短期間の試用期間を設けて雇用し、企業側と求職者側が相互に適性を判断した後、両者が合意すれば本採用が決まる制度。
出典:wikipedia
トライアル雇用で、実際に働く準備が出来ているか試してみることが出来ます。
もし、企業とあなたがお互いに良ければそのまま本採用にも進むことが出来ます。
エージェントを利用
プロのカウンセラーの意見を聞きます。
カウンセラーは、障がい者を紹介することが仕事なので、企業の面接官と同等かそれ以上に仕事をすることが可能か見極めることが出来ます。
それを利用して、働く準備が出来ているか確認をします。
また、利用できる障がいの範囲を設定してあるエージェントもあるので、それによっても見極めることが可能です。
そのほかにも、カウンセラーの意見を聞くことで自分の働き方もわかります。
例としては、
- 時短勤務
- 週30時間未満
- 通勤時間の配慮
- 在宅勤務(テレワーク)など
あなたの障がいや治療と状況から可能な働き方を提案してくれるので、自分の働き方が良く判ります。
もし、ここで提案がない場合は、まだ働く準備が出来ていないので、就職は出来ないとか難しいという事になります。
Q&A
通常勤務から時短勤務も同じです。合理的配慮の範囲内です。
まとめ
障がい者の就職が出来なかったり、転職が難しかったりする理由は働く準備が出来ていないことが原因です。
障がい者が働く為には、基本スキルがあり、合理的配慮が明確になっていて、健康管理が出来ていれば可能です。
もしも、就職・転職活動を続けていながらも就職が出来ない、転職が難しいと感じたら、まず働く準備である以下の5つのポイントを確認してみてください。
- まだ治療が必要
- 自分の障がいへの理解が不十分
- スキル不足
- マナー不足
- 体調管理
もし、1つでも難しい感じた場合は、この記事で解説した方法を試してください。
でも、ひとりでは解決できないと思ったら、無理は禁物です。
その場合は、解説した治療以外の「自分の障がいへの理解が不十分」「スキル不足」「マナー不足」「健康管理」すべてが解決できる方法があります。
それは、就労移行支援の利用です。
自分で解決が難しい場合は無理をしないで、就労移行支援の利用を検討してください。
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