障がい者の仕事と年収を解説します。
現職の仕事に対する年収の確認や、転職する際の年収の目安にご利用下さい。
また、各年収ごとに就職と転職のアドバイスをつけました。
障がい者雇用の最低賃金確認
最低賃金の確認の前に、制度について概要だけ理解しておきましょう。
まず、最低賃金は、障がい者にかかわらず決められている最低賃金制度があります。
この最低賃金制度とは、国が法制度にのっとり最低賃金額を決めて企業は労働従事者に対して、それ以上の金額を支払う制度です。
この最低賃金制度には2種類があり、特例が1つあります。
2種類の最低賃金制度
- 地域別最低賃金
- 特定最低賃金
この2種類です。
-地域別最低賃金-
産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されます。
産業や職種に関係なく、各都道府県別に決められています。
出典:厚生労働省
-特定最低賃金-
特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます。
特定の産業別に決められている賃金です。
出典:厚生労働省
-ポイント-
- 地域別最低賃金は、地域に適用
- 特定最低賃金は、産業に適用
最低賃金は、地域別最低賃金と特定最低賃金を比較して高い方が適用されます。
-例-
地域別最低賃金=1,000円
特定最低賃金=900円
適用は地域別最低賃金の1,000円となります。
特例制度
特例により最低賃金の減額が出来る制度です。
最低賃金は、障がいに関係のない制度ですが例外があります。
それが、最低賃金額の減額特例措置になります。
これは、身体、精神の障がいから労働力が一般の労働者と比べて異なるとき最低賃金が一律に決められていることにより、働く機会を減らしてしまう様な場合、各都道府県の労働局長の許可で、最低賃金より低く賃金を設定することが出来る制度です。
例えば、最低賃金が1,000円だとして、労働力を数値化したとして100と50の人がいたら、100の人を採用するでしょう。
でも、仮に賃金が500円だとしたら、労働力が50でも妥当な金額なので採用したいと思うので雇用の機会が増えるという考え方からの制度です。
令和2年地域別最低賃金について
全国平均は令和2年10月で902円です。
主な都市の最低賃金は以下になります。
北海道 | 861円 |
東京 | 1,013円 |
神奈川 | 1,012円 |
千葉 | 925円 |
埼玉 | 928円 |
愛知 | 927円 |
大阪 | 964円 |
福岡 | 842円 |
沖縄 | 792円 |
障がい者の平均年収
平均年収の基本となる厚生労働省発表の障がい者の平均賃金は以下のようになります。
この資料には、正社員、契約社員から週30時間以上週20時間未満の雇用形態の条件になります。
障がい | 賃金 |
身体障がい者 | 215,000円 |
知的障がい者 | 117,000円 |
精神障がい者 | 125,000円 |
発達障がい者 | 127,000円 |
このデータを基に年収を算出します。
ボーナスの平均は大手企業で2.0-2.5ヶ月分くらいと言われています。
また、中小企業では1-2ヶ月分くらいと言われています。
それを反映して、ボーナスの有る場合と無い場合の平均年収を算出しました。
横スクロール
障がい | 年収ボーナス無し | 年収ボーナス有り (2.5ヶ月-1ヶ月分) |
身体障がい者 | 2,580,000円 | 3,117,500円ー2,795,000円 |
知的障がい者 | 1,404,000円 | 1,696,500円ー1,521,000円 |
精神障がい者 | 1,500,000円 | 1,812,500円ー1,625,000円 |
発達障がい者 | 1,524,000円 | 1,841,500円ー1,651,000円 |
雇用形態によりボーナスの有無の違いや、業種、職種によっても変わるので、あくまでも目安として下さい。
年収と控除と非課税
-控除について-
障がい者は、所得金額から27万円が控除されます。特別障がい者(1-2級)は、40万円が控除されます。
-非課税について-
前年の所得金額が125万円以下で有れば、住民税は非課税になります。
所得が給与の場合は、204万4千円未満が対象になります。
これは、本人と扶養家族が対象になります。
ですが、年末調整で給与支払報告書に障がい者と記載しないと非課税になりません。
年収と控除額から非課税の対象が変わります。
その他にも障がい者が利用出来る税の控除が有ります。
詳しくは、厚生労働省の「障がいと税」をご覧下さい。
障がい者の年収データと仕事
ここからは、障がい者の年収と仕事の紹介です。
職種と内容によって年収が変わります。
私の採用経験と、全国対応のエージェントの求人内容からになります。
あなたの現在の仕事に年収が妥当か調べたり、年収アップの参考にして下さい。
年収200万円台の仕事
年収200万円台には、次のような職種があります。
職種 | ・一般事務アシスタント ・商品管理 ・軽作業 ・清掃 ・販売スタッフ |
雇用形態 | 契約社員(パート・アルバイト) |
応募資格 | 学歴不問・特になし |
勤務時間 | 相談可能 |
-コメント-
ルーティンの仕事が殆どです。時短勤務や週30時間未満の働き方が出来る仕事が多くあり、仕事と障がいの治療が両立がしやすいです。
障がいへの配慮を重視した働き方に向いています。
年収200万円台に就職・転職
この仕事に就職や転職をする人は、障がいの治療をしながら仕事をしたい人や、障がいを重視した心と体に優しい働き方を望む人に向いています。
- 障がい者として初めて就職をする人
- 仕事より心と体を大事にしたい人
- 年収200万円未満の働き方から、年収をアップしたい人
- 障がいの治療が良好で仕事量を少しずつ増やしていきたい人
-求人例-
・年収:240万円以上 264万円以下
・月給:200,000円以上 220,000円以下
※賃金形態:日給月給制
※契約社員・正社員いずれも年1回昇給有り。
月給制
・年収:207万円以上 207万円以下
・月給:153,200円以上 153,200円以下
・賞与有(年2回/6月・12月、年間234,250円)
・昇給有(年1回)
年収200万円台に就職・転職する方法
アドバイス
経験者でなくても就職や転職は比較的にしやすいです。ただし、ポイントがあります。それは、働く為の準備が出来ている事です。働く為の準備が必要な方は、以下の記事で詳しくまとめていますので参考にしてみてください。
【徹底比較とランキング】見学すべきおすすめの就労移行支援8選!
年収300万円台の仕事
年収300万円台には、次のような職種があります。
職種 | ・一般事務 ・事務補助 ・経理事務 ・営業事務 ・社内SE ・オープンポジション |
雇用形態 | ・契約社員(パート・アルバイト) ・正社員 |
応募資格 | 高卒以上 |
勤務時間 | 基本フルタイム |
-コメント-
配属先がオープンになっている事が多く、殆どが一般事務などのアシスタントもしくは補助業務になります。
雇用形態は、以前は契約社員が多かったのですが、最近は定着するように正社員で採用をする企業も増えています。
正社員でも契約社員でも、合理的配慮によって通院などはしやすくなっていますが、時短勤務や週30時間未満の働き方では月給ではなく時間給になることも有ります。
年収300万円台に就職・転職
この仕事は、障がいが比較的安定していて経過観察をしている人や定期通院で安定している人で、企業の一員として貢献しながらまとまった年収が必要な人が向いています。
- 障がい者として働いた経験がある人
- 自分の障がいを理解している人
- 必要な配慮が明確にな人
- 障がいが安定している人
- 200万円以上の年収が欲しい人
- 年収が下がっても、障がいと仕事を両立したい人
-求人例-
月給制
・年収:308万円以上 308万円以下
・月給:220,000円以上 220,000円以下
給与:入社時基本給220万円(賃金改定:年1回)
賞与:22万円(年2回)
月給制
・年収:348万円以上 348万円以下
・月給:212,600円以上 212,600円以下
賞与有り(昨年支給実績:約4か月分相当)
年収300万円台に就職・転職する方法
就職や転職はハローワークや求人サイトなどから探す事が出来ます。
アドバイス
年収400万円台の仕事
年収400万円台には、次のような職種があります。
職種 | ・一般事務 ・ソフトウェア開発エンジニア ・システムエンジニア ・セキュリティエンジニア ・Webアプリケーション開発エンジニア ・データベースエンジニア ・薬剤師 |
雇用形態 | ・契約社員 ・正社員 |
応募資格 | 高卒以上 |
勤務時間 | フルタイム |
年収400万円台に就職・転職
エンジニアや士業など専門職の仕事が多くあり、ハイキャリアへの入り口になります。
この仕事は、障がいに関係なくスキルやキャリアを活かした仕事をしたいと考えている方に向いています。
- 障がいが安定している人
- 自分の障がいを理解している人
- 自分で健康管理がコントロールできる人
- キャリアプランがある人
- スキルを活かしてみたい人
-求人例-
月給制
・年収:400万円以上 600万円以下
・月給:250,000円以上 300,000円以下
・昇給年1回
・賞与年2回(2~6ヵ月分想定/年間)
年俸制
・年収:400万円以上 500万円以下
・月給:330,000円以上 410,000円以下
昇給・賞与:正社員登用後有
400万円台に就職・転職する方法
アドバイス
年収500万円台の高収入の仕事
年収500万円台の高収入の仕事には、次のような職種があります。
職種 | ・Client Solutions Manager ・Client Partner Manager ・調査・コンサルティング職 ・事務職(専門職/課長クラス) ・監査業務職(担当者~マネージャー) ・経理職(課長クラス) |
雇用形態 | 正社員 |
応募資格 | 大卒以上・経験者 |
勤務時間 | フルタイム |
年収500万円台の高収入に転職
いきなりの就職は難しく、現職からの転職になります。職種は管理職やコンサルタントなどです。
この仕事は、社会人として経験が多くあり、管理職の経験がある人でないと難しいです。
- 社会人経験が10-15年以上
- 管理職の経験が1年以上ある
- 自分の障がいをコントロールできる
- 自分の健康管理が出来る
- 障がいに関係なく成果を出せる
-求人例-
年俸制
・年収:500万円以上 700万円以下
・月給:416,666円以上 583,333円以下
最低理論年収=月給416,666円×12ヶ月=5,000,000円
月給制
・年収:500万円以上 690万円以下
・月給:380,000円以上 500,000円以下
賞与有
想定賞与(2ヶ月)を含んでいます。
裁量労働制でのご提案の場合は、賞与の算定額に含みません。
500万円台の高収入に就職・転職する方法
アドバイス
年収600万円台の高収入の仕事
年収600万円台の高収入の仕事には、次のような職種があります。
職種 | ・コンサルティング職 ・事務職(専門職/課長クラス) ・経理職(課長・部長クラス) |
雇用形態 | 正社員 |
応募資格 | 大卒以上・経験者 |
勤務時間 | フルタイム |
年収600万円台の高収入に転職
いきなりの就職はむりです。現職からの転職で職種は管理職・専門職になります。
この仕事は、管理職の経験や専門職としてキャリアや実績がある人でないと難しいです。
- 3年以上の管理職の経験がある
- 専門職でPMの経験がある
- 社会人の経験が10-15年以上ある
- 障がいと仕事の両立が完璧
-求人例-
年俸制
月収:500,000円~ (年収: 600万円~)上記は賞与を含まない金額となります。
経験・能力・前給などを考慮の上、当社規定により決定いたします。
昇給:有(年1回)
賞与:有(業績に応じて支給有)
月給制
月収:550,000円~(年収:660万円~)
選考を通じ今までのご経験やスキルを考慮の上、給与は決定致します。
昇給:年1回
賞与:年2回(6月・12月)
600万円台の高収入に就職・転職する方法
アドバイス
1000万円台の高収入の仕事
年収1000万円台には、次のような職種があります。
- パイロット
- 医者
- 商社
- 外資系企業
- 漁師
- 弁護士
開業したり、士業がサラリーマンより多くなります。
サラリーマンでも、商社や外資系企業ではマネージャー職や係長職以上で年収1,000万円台を超えてきます。
障がいに関係なく、このレベルになるとサラリーマン、開業共に成果=年収となります。
特に、障がいへの配慮は難しくなってくると思うので、自分の体と心と相談をして決める必要があります。
年収1000万円台の高収入に転職
実力とキャリアが必須ですが、それだけではこのクラスの転職は成功しません。
ですが、障がい者でも正しい転職方法で探せば上手くいきます。
正しい方法とは、障がい者の転職専門に依頼することです。
でも、どの専門でも良いわけではありません。
あなたに合っている専門を選ぶ必要があります。
1000万円台の高収入に就職・転職する方法
アドバイス
まとめ
如何でしたでしょうか。
【障がい者の仕事と年収データ】転職して高収入の目指し方を解説してきました。
最後に、現職より高収入を目指す全ての障がい者にアドバイスをします。
これは、障がい者に関係なく言えることですが、短期間で高収入にする為には、転職が一番良い方法です。
それは、各企業どこでも給与ベースが決まっているので急な昇給はあり得ないからです。
障がい者も例外ではありません。
なので、転職をすることで給与ベースを見直すのが一番良い方法なのです。
しかし、ここで問題があります。
それは、あなたに合っている仕事や働き方を選ばないと転職しても長く続きません。失敗します。
でも、それが自分で解る人はそういません。
自分の希望=ぴったり合っている転職ではないからです。
転職して現職より高収入にする極意は、まずはしっかり転職の専門家に相談をして自分の進むべき道を決めることです。当メディアが転職でおすすめする専門家については以下のページで詳しくまとめてありますので参考にしてみてください。