JIER Inc.編集部が、障害者雇用枠で働いている方の退職についてアンケート調査をしました。
退職理由で一番多かったのが「人間関係」でした。調査結果では、その他に退職の手続きの難易度や引き止め、退職金の有無などについても公開しています。
JIER Inc.では、障がいのある方へ退職を推奨している訳ではありませんが、場合によっては退職して新しい環境に進むのが良いこともあると考えています。
協力頂いたアンケートを参考に、今後のあなたの行動に活かしてください。
退職回数を教えてください
退職回数について、アンケートに答えて貰いました。
退職回数は、1回が一番多くて全体の46%です。4回以上も意外と多く16%でした。この結果から、退職をする方は多くいて、また繰り返している事が解ります。
退職理由を教えてください
アンケート調査をした障害者の方の退職理由です。
人間関係が全体の23%で一番多かったです。次いでで配慮が無いが21%、条件に合わないが20%となっています。どれも、深刻な理由ですが、働く事で体調不良になって退職している方が18%もいます。
引き止めについて
障害者の方の退職時の引き止めの有無についてのデータです。
引き止め有りが全体の40%ありました。これをどう考えるかですが、退職理由によっては大きな負担になります。上司や同僚、関係者との人間関係やトラブルが理由の場合、特に退職への負担は大きくなるでしょう。
退職金について
障害者の方の退職で、退職金が出ているのか調査しました。
退職金は、雇用形態や企業ごとの規則もあるので、このデータだけで判断するのは難しいですが、障害者の方の退職金は出ない方が多いと言うことは解りました。
これを解消する為には、求人を探す時点で採用条件に退職金が盛り込まれている企業を選ぶか、条件交渉をする必要があります。
求人条件の検索や条件交渉については、JIER Inc.の記事を参考にしてみてください。
退職手続きの難易度
退職手続きは、会社や企業によって多少変わりますが、障害者の方が退職するときに、どれだけ負担があったのか難易度をアンケート調査しました。
アンケート調査では、半数以上の方が退職手続きが難しいと回答しています。何か理由があって退職するのですが、更にその手続きが大変だと言うことは大きな問題です。
その問題を解決する方法があります。
この記事の後の章で書かれているので参考にしてみてください。
障害者雇用枠の退職|基本の辞め方
障害者雇用枠の退職で、ス基本の辞め方を紹介します。進め方は、一般雇用枠の退職と変わりはありません。過去に退職をした経験がある方には参考にならないかも知れませんが、初めて退職をする方は参考にしてみてください。
ここで紹介する辞め方は、次の働き先が決まっているケースです。何らかの事情で次の働き先が決まっていないで退職される方は、この次の章の「失業保険」を参考にしてみてください。
スムーズに辞めるためのSTEPは4つです。
STEP2.退職届の提出
STEP3.退職準備
STEP4.退職当日
必要な期間は、企業ごとの社内規定にもよりますが大体1ヶ月前には退職届を出す規定が多いようです。ですが、余裕を持ってスムーズに辞めるためには2-3ヶ月見ておくと良いでしょう。
それでは、STEP事に詳細を解説します。
STEP1.退社の意思を伝える
退職を決めたら、まず上司に伝えましょう。その後で、必要であれば人事の障害者雇用に関わる方に伝えましょう。同僚や関係者には最後に話すのが良いです。
このとき、気を付けることがあります。
- 上司や人事に相談ベースで話さない
- 退職理由を明確にする
- 話す場所は人気の無い会議室など
相談ベースで話すと、退職を決意しているのに引き止めがあったりして面倒です。そうならないためには、退職理由を明確にして決まった事として話すと良いでしょう。
また、話す場所は第三者がいない静かで落ち着いた場所で話す方が、上司にしっかり伝える事が出来ます。
STEP2.退職届の提出
退職願と退職届の違いは、退職願は退職する意思を表現することで、必ずしも書類にする必要はありません。
一方、退職届は正式に会社に退職を届け出る書類です。企業や会社によって提出する先が、上司だったり人事などに変わることがあります。解らない場合は、人事課で確認しましょう。
退職届の書き方
退職届は、以前は手書きが推奨されていましたが、現在はパソコンで作っている方も多いようです。また、書き方もそんなに難しくありませんが、はじめて退職する方に向けて例文とポイントを紹介します。
退職届例文
- 用紙は白のB5かA4が一般的
- 白の封筒
- 黒のボールペン
退職届書き方のポイント
- 書き出し:私儀(わたくしぎ)と書きます。
- 退職理由:自己都合退職の場合は、「一身上の都合」と書きます。会社都合の場合は、その理由を書きます。
- 退職日:退職日は、上司や人事との話し合いで決めた日付を記入します。
- 文末:退職届は、退職が確定した後に提出するため「退職いたします」と書きます。
- 届出年月日:提出する日付を記入します。
- 所属部署、氏名:宛名より下の位置に所属と名前を記入し、名前の下に捺印します。
- 宛名:代表取締役社長や代表社員(合同会社)などが一般的です。
(参考:dodaより)
封入は、退職を処理する側も、そこまで気にしていません。ただし、封筒の正面には「退職届」と解る様にしっかり記入をして、誰からなのか解る様に裏面に部署と氏名をハッキリと書くようにしましょう。退職届は、封筒にしっかり収まるように折りたたみ、封筒はのり付けして止めます。
STEP3.退職準備
退職届を提出したら、ここから本格的に退職の準備が始まります。
流れとしては、次のようになります。
- 退職用書類の提出
- 仕事の引き継ぎ
- 関係部署への挨拶
退職届を出すと多くの企業では人事で用意されている退職用の書類が手渡されます。不備があったり訂正があるかもしれないので、必要事項を書いて早めに提出しましょう。
仕事の引き継ぎは、次の担当者にマニュアルを渡したりポイントや注意点など詳しく伝えるようにします。時間があり可能であればパワーポイントなどにまとめると伝える側も楽になります。
挨拶は、関係部署や関係者にしますが、そんなに他の部門と関わりが無いのであれば、退職当日に所属した部署だけで良いです。
STEP4.退職当日
退職当日は、キャビネットのキーやパソコンなど会社から貸与された全ての物を返却します。多くは総務が窓口になっていると思いますが確認をしてください。そして最後にemployee ID card「社員証」を返却して退社になります。私物が多くある場合は、そこで宅配便で送ってしまいましょう。その場合、退職後のトラブル防止のために着払いが良いです。
障害者雇用枠退職の補足
JIER Inc.には、色々な理由で「退職したい」でも「辞められない」と言う相談が年間に十数件来ます。
JIER Inc.では、相談があった時点で退職する決意があると判断して、ストレスなくスムーズに退職できるサービスを紹介しています。
それが、退職代行サービスです。
JIER Inc.が紹介するのは、違法性のない東京都労働委員会に認証されている東京労働経済組合「退職代行ガーディアン」です。
依頼をすると、即日から出社の必要がなく、会社や上司への連絡も必要ありません。退職代行サービスが、代理人として交渉して確実に退職までサポートしてくれます。
公式には、利用者の「もっと早く辞めれば良かった」「心と体が壊れる前に」「入社2日で」などの退職事例もあるので参考にしてください。
このサービスは全国からご利用頂けます。退職でお困りの方は、相談してみると良いでしょう。
障害者雇用枠の失業保険について解説
まず、失業保険とは雇用保険のことで、離職した時の為にかける保険です。この保険料は、会社と自分で負担します。
(保険料率:厚生労働省)
ここでは、失業保険を受給する為の条件や必要な物、手続き、注意点などを解説します。
失業保険を受給するための条件
一般の失業保険と比較して、障害者の方は受給条件が緩和されています。
(パートやアルバイトに関係なく雇用保険に加入してれば受給資格があります。また、フルタイムで無くても給与支払いの基礎日数が11日あれば1ヶ月として計算します。)
条件2.働ける状態であること
(病気や怪我などが理由で働けない場合は傷病手当を受給することになります。)
失業保険の手続きに必要な物
失業保険の手続きで必要な物を紹介します。手続きを進めるのに何か足りないと二度手間になるのでしっかり確認にして揃えておきましょう。
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類
- 身分証明書
- 写真
- 印鑑
- 本人名義の口座
雇用保険被保険者離職票
殆どの場合は郵送されてきます。もし、郵送されてこない場合は退職した企業の人事に問い合わせてみましょう。場合によっては、取りに行くこともあります。
個人番号確認書類
マイナンバーが解るカード、通知カード、住民票(マイナンバーが記載)です。
身分証明書
運転免許証や障害者手帳、マイナンバーカードなどになります。顔写真があり公的機関が発行した証明書です。
写真
縦30ミリ横25ミリの上半身の写真で2枚必要です。
印鑑
認印はOKですがシャチハタは不可です。
本人名義の口座
通帳かキャッシュカードを持参しましょう。
失業保険を受給するための手続き
失業保険を受給するためにはハローワークで手続きをします。受付で、失業保険の手続きをしたいことを告げれば、行き先を教えてくれます。
流れとしては、次のようになります。
- 失業保険の申込みをする
- 失業保険受給者説明会に参加する
- 求職活動をする
失業保険の申込みをする
失業保険の手続きに必要な書類一式を持参して窓口に提出します。同時に求職の申込みも行うので、出来れば午前中に行くのが良いでしょう。
失業者保険受給者説明会に参加する
失業保険の受給資格が認定されても、説明会に参加しなくては受給できません。
「雇用保険受給資格者のしおり」を渡されたら説明会の日時を確認して筆記用具と印鑑を持って参加します。説明会に参加することで「失業保険認定書」と「雇用保険受給者資格者証」が貰えます。
求職活動をする
失業保険を受給する為には、働く意思があることを証明する必要があります。退職理由が会社都合と自己都合によって変わるので注意が必要です。
- 会社都合:認定日から次の認定日の間に2回以上の求職実績が必要
- 自己都合:待機期間3ヶ月 認定日から次の認定日の間に3回以上の求職実績が必要
求職実績は、ハローワークでなくても「LITALICO仕事ナビ」や「アットジーピー」など民間企業の求人サービスや、就職のためのセミナーや資格や検定の受検も認められる事が多いです。
失業保険を受給する注意点
失業保険を受給する注意点です。それは、退職理由です。会社都合と自己都合では失業保険の受給開始のタイミングが3ヶ月ほど(待機期間)違います。退職するときに会社から出された離職証明書に書かれている理由が間違っていないかしっかり確認をしましょう。
もし、内容が違う場合はハローワークに相談をすると事実関係をしっかり調査して貰えます。
最後に
JIER Inc.は、障害者の方の退職を推奨しているわけではありませんが、時には必要なことだと考えています。
自分に合わない仕事や、理解や配慮の無い環境で我慢するより、早く退職して希望する条件で働ける環境に変わる方が自分のためになります。障害者雇用枠の現在は、自分から良い職場環境や条件を選べる時代になっています。退職はひとつの働き方改革として考えてみては如何でしょうか。
新しい環境や条件を探すのには、当メディアの記事を参考にしてみてください。